「運動部活動の地域移行」に際して,児童・生徒の体力の測定・評価はどう扱われるべきか。
- Hayashi Yoichi
- 9月30日
- 読了時間: 3分
2023年度から2024年度にかけて委員を務めていた,体育・スポーツ・健康づくり学会「政策検討諮問委員会」の報告書が発行されました。
ㅤㅤ
この委員会では2期目の参加となりましたが,今期の審議テーマは「運動部活動の地域移行」でした。
委員会は2か月に1回開催され,毎回2〜3名が所属領域に基づいた活動報告や発表を行いました。各先生方のご報告は非常に示唆に富み,たいへん勉強になりました。
ㅤㅤ
一方で,私は体育測定評価領域の選出委員であったため,本テーマについては専門外であり,自身の発表順が回ってきた際にはかなり悩みました。
その際,測定評価学会の理事の皆さまをはじめ,高校時代の恩師などから多くの助言を頂き,「測定評価専門領域」という限られた視点ではありましたが,なんとか発表と原稿提出を行うことができました。
ㅤㅤ
しかし,この2年間で,部活動の地域移行に関してはさまざまな進展があり,正直なところ,私の報告内容はその中のごく一部にしか焦点を当てられていません。
そのため,本稿をお読みいただいても「役に立たない」と感じられる方がいらっしゃるかもしれません。
ただ,実際の現場の状況を見聞きすると,今回の原稿で扱った「児童・生徒の体力測定やその評価」に関しては,誤解が少なからず存在しているように思われます。
ㅤㅤ
学校教育から離れることで,これまで部活動において考慮すべきであった要因を気にせずに済む場合もあるかもしれません。
他方,「部活動」の要素を残すのであれば,学校教育の一環として行われてきた活動の趣旨を踏まえる必要もあるでしょう。
ㅤㅤ
今後,部活動が地域でどのような形で展開・代替されていくのか,まだ明確な方向性は定まっていません。
それでも,児童・生徒が主役であり,その心身の発育・発達がいかなる形であっても重視されるべきであることに変わりはありません。
そのためにも,体力測定の意義や評価の考え方について,改めて正しく理解しておくことが重要だと考えます。
「体力測定」と聞くと,多くの方は体育の授業で行う新体力テストを思い浮かべるかもしれません。
しかし,なぜそれらの項目が選定されているのか,得られたデータをどのように解釈すべきか,といった点は十分に理解されていない場合も少なくありません。
ㅤㅤ
今回の原稿は限定的な内容ではありますが,児童・生徒の体力をどのように捉え,それを測定・評価することにどのような意義があるのかを述べています。
拙文ではありますが,ご笑覧いただければ幸いです。
以下,書誌情報となります。
体育学研究 70 巻 (2025) Report 号
「学校運動部活動改革に関する研究報告―運動部活動の地域移行をめぐって―」
○林 容市:地域におけるスポーツ指導者の育成と測定評価:指導者における体力・運動能力の測定・評価の理解と課題

コメント